3章髪にも肌にもいい弱酸性の驚くべき効果
_______アルカリ性ヘアケアはこんなに怖い
* 美容師として素朴な疑問__パーマ液でなぜ手が荒れるのか
私の母、山崎伊久江は御茶ノ水美容専門学校を卒業し
昭和20年代にすでに第一級の美容師として活躍していました。
しかし、毎日毎日お客様の髪をいじりながら、疑問に悩まされていたのです。
美容師の手はなぜこんなに荒れるのだろう・・・
当時は戦前の電気パーマに代わって
アメリカから最新のコールドパーマが入ってきたばかりでした。
電気パーマというのは写真などで見たことがあるかもしれませんが
髪を巻いたカーラー(ロッド)の一つに電気のコードをつなぎ
熱でウェーブを出すものです。
パーマが終わるまで頭は動かせないし
熱いし、ちょっとしくじると髪はチリチリになるし
おしゃれをしるのも大変でした。ところが新しく入ってきたコールドパーマは
ただパーマ液をつけてカーラー(ロッド)を巻けば簡単に強いウェーブが出ます。
戦争が終わって欧米の流行や文化が女性たちに紹介され
ファッションも新しいものがどんどん入ってきた頃ですから
みなコールドパーマに夢中になりました。
美容師の競ってテクニックを身につけようと一生懸命だったのです。
しかしお客様にパーマをかければかけるほど
美容師の手は荒れ爪は荒れ、指紋はなくなり、顔色もすぐれなくなってきました。
だんだん体調も悪くなり、疲れやすく精気もありません。
そのうち、それが自分一人ではないことに気づいたのです。
これでは美容師はみんな病気になってしまう。それにこんなに手が荒れるということは
お客様の髪の毛も傷んでいくのではないかしら__
そう思うと、このままで美容師を続けていいものかどうか
不安になってしまったといいます。
考えれば、あっという間に普及したコールドパーマですたが
これがどんな化学成分で、どんな性質を持っているかなど誰も知らなかったのです。
パーマ液はツーンとした刺激臭、ひどい手荒れ、パーマ液にかぶれるお客様が出てきたことで
コールドパーマに対する疑問はますます大きくなっていきました。
「不安なのはそれがなぜなのかわからないからだ。
だったらなんとしても知りたい。それには勉強をしなければ!
私はあまりにも知らなすぎる。自分が納得できるまでとにかく勉強してみよう」
そこで早速お店の常連だった奥様のご主人である
東大の病理学の先生を紹介してもらいました。そしてすぐにパーマ液
シャンプー、セットローションなどを研究室に持ち込み成分の分析をしてもらったのです。
この結果、不安は的中しました。
「こんなに強い薬を使っているとは驚いた。美容院で老化現象促進所だな。
うちの家内をきれいにさせとこうと思っておたくにやっているのに
これじゃもうやれませんよ」教授にそう言われて大きなショックを受けたといいます。
いまと違って昔のパーマ液はそれほどひどかったのです。
「女性をきれいにしようと思ってこの仕事に就いたのに
美容院は老化現象促進所だなんて・・・
これじゃ何のために美容師をやっているのかしら」
そんな思いがパーマ液の研究に突き進むきっかけとなりました。
どうせやるなら基礎から勉強してみよう。
それから化学の教科書から専門下書まで、手当たり次第に読んでいき、がむしゃらに勉強したといいます。
決めたとなったら一直線、どうにかして自分の疑問を晴らしたい
その一念だったのです。