* 「等電点生理学」との運命的な手合い
そんなある日
ふとしたきっかけから東京農業大学の伊東信吾博士を紹介されました。
伊東先生は植物、細胞学の学者ですが
この伊東先生によって「等電点生理学」という学問に初めて出会うことができたのです。
等電点生理学というのは美容の研究のためのものではなく
土壌の改良とか農作物の栽培法など
主に農業に応用される理論です。
しかい「人間も植物も同じ生き物であれば
この理論を応用して人体生理学にかなった美容法を開発できるにではないか」と
考えたところから
弱酸性パーマ液開発は成功の糸口が見つかったのです。
後に弱酸性美容法の理論的支柱になったほど重要な学問でした。
「等電点」という言葉を聴いた事がある人はほとんどいないでしょう。
難しいかもわかりませんが、簡単に説明しておきます。
自分で野菜を作った経験のある方はおわかりでしょうが
土壌、アルカリ性土壌があり
その土壌の酸性度、アルカリ性度は同じくペーハーで表わします。
そしてそれぞれの作物に土壌には生育するための最も適したペーハー値があります。
これを等電点といいます。
作物には酸性の土壌に適した作物、アルカリ性に適した作物があります。
そして稲には稲の、麦には麦の、またほうれん草やかぼちゃにもそれぞれの
細胞組織の生理にそったペーハー値があります。
たとえばほうれん草は、自分がもっているペーハー値(これがほうれん草の等電点です)に
一番適しているペーハー値の土壌のとき
最もイキイキと育つわけです。
つまりほうれん草を元気よく育てるには
最も適正な土壌のペーハー値がわかればいいのです。
それなら髪を育てる頭皮、つまり皮膚のphi(等電点)わかれば
地肌や髪にいいパーマ液のペーハーもわかるのではないだろうか。
それが開発の大きなヒントになりました。
前にも触れたように、酸性、アルカリ性を測るにはペーハー(ph)という単位を使います。
これを水素イオンの濃度指数で0.0~14.0までの数値で表わされます。
数値が大きくなるほどアルカリ性が強くなり、小さいほど酸性が強くなります。
また酸性でもまくアルカリ性でもない中性点を「中性」といいます。
中性点は7.0で水が中性なのはよく知られていますね。
しかしこれはあくまでも物質を対象とした中性点であり
生物を対象にしたものではありません。これを化学的中性点といいます。
化学的中性点を人間の皮膚に当てはめるのは無理があります。
なぜかというと
化学的中性点からいえば弱アルカリでも
人間の皮膚からみればそうではないからです。
これがわかったのは山崎伊久江が自分の毛を使って
繰り返し実験を行なった結果でした。
当時毎晩のようにアルカリ溶液を自分の髪につけて試していたため
脱け毛や切れ毛が多く
30代の女盛りとは思えないくらい
頭が薄くなってしまったといいます。