* ついに完成した弱酸性パーマ
たくさんの収穫を得て帰国してからは
それらの資料をかたっぱしから翻訳してもらってむさぼるように読みました。
資料の中には毛髪に関しての実に詳細なデータや
顕微鏡を使った写真資料もあり
当時の日本ではとても手に入らない貴重なデータだったのです。
こうして弱酸性パーマ液が完成し
1963年、厚生省(当時)の許可がおりました。
このパーマ液がそれまで出回っていたアルカリパーマとは違う弱酸性であることは
当時の美容界だけでなく社会的にも大いに注目されました。
しかし相変わらず、酸性でウェーブが作れるはずがない
髪がよくなる弱酸性効果など信じられないといった、反発も根強くあったのです。
これは実際こんな例もありました。1950年代のフランスでは
酸性パーマは製品開発の途上にありましたが
これがしけん段階で断念されてしまったのです。
パーマ液の大手メーカーA社は当時狙い通りの液が完成したため
三百人の美容師にそのパーマ液でパーマをかけてもらう実験を行ったそうです。
ところが誰一人としてウェーブをつけることができずに
失敗に終わりました。この燦燦たる結果からA社は弱酸性パーマ液の開発を断念し
それ以降、ヨーロッパのメーカーはいっせいに賛成パーマ液の開発を見送ることになったのです。
酸性液ではパーマはかからない、この定説はまさに技術上の問題です。
膨潤させ髪の組織を破壊してからカーラー(ロッド)に巻き上げるアルカリパーマでは
手順にしたがってウェーブが出せましが
酸性の液はそれだかでは緊張力が強いので
従来のロッドの巻きかたではウェーブが出ないのです。
つまり髪を巻き上げるときの指の使い方、巻き上げる角度、張りなどそれぞれの技術があり
それらをマスターしなければウェーブを作れません。
いくら弱酸性パーマがいいと言っても、パーマをかける側である
美容師がなければお客様が満足するヘアスタイルを作ることはできないのです。
長年歳月をかけて研究し
世界で初めて商品化した弱酸性パーマと技術はマスコミでも話題になりましたが
かといってすぐ全国の美容室に広まったわけではありません。
それからは全国の美容師さんに
徹底した技術指導の繰り返しと理論学習を実地しました。
でも、受講者百人が押しかけてきても、いざその美容法を講習すると
残るのはせいぜい2?3人です。「美容師がなぜ化学や生物の勉強までさせられるの?」
と、よほど熱心な美容師以外
ついていけないとあきらめてしまう人が圧倒的に多かったのです。
しかし信念を持って全国を回り、弱酸性の普及に努めた結果
いままで全国各地に多くの弱酸性美容室ができています。
「私ってもともと髪にコシがなくて細いんです。
だからパーマもちょっと強くかけるとかかりずぎるし
かといって弱くかけるととれやすくて、なかなかいい具合に決まらないんです。
でも弱酸性パーマはしっかり強めかけても
ふわっときれいにボリュームが出るのでとても気に入っています。
それに毎月かけても髪がちっとも傷まないからいいわね」
「弱酸性でパーマをかけると、髪が元気になるか
毛根が全体に立ち上がる感じですね」とくに毛の根元一センチぐらいに弾力があるので
自分でスタイリングしやすいんです。
ふんわり、というイメージがピッタリのウェーブだと思います。」
弱酸性パーマは強めにかけても、頻繁にかけても髪が傷まず
それどころか、かければかけるほど髪や頭皮が元気になってくるパーマです。
とくに髪が細い、少ないといった方はアルカリパーマだと負担が大きいのですが
そのような髪も弱酸性パーマをかけることで髪全体に張りコシができ
ブローやセットしやすい髪になるのが特徴です。